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音読方法を100知っている先生になろう!
姿勢に配慮した音読指導



越智敏洋(TOSSいちばん星

 よい姿勢で音読をさせたいものです。
 しかし、叱っただけでは、子どもたちはできるようになりません。
 いろいろなレパートリーの「姿勢」に関する音読をさせる中で、少しずつ身に付けさせていくように様々な方法を紹介します。


方法1 両手で持って読みます。

目から教材までの距離は、30cmくらいが適当である。
定規を当てながら試してみると分かる。
20cmだと近すぎるし、40cmだと手をいっぱいに伸ばさないといけない。

安定して持つために、肘を軽く曲げ教材の中央よりも少し下を持つ。
「よい持ち方をします(やってみせる)。一緒にやります。」
と先生が見せてあげればよい。
真似をするのも学習方法の一つだ。

方法2 片手で持って読みます。

教師が音読をしながら、姿勢の指導などをする際には、教材を片手で持つことがある。
児童であっても片手で正しく持てれば教えてもよいと私は思っている。

教科書のように幅の広い教材であれば、半分に折る。
次に、前や後ろに倒れてしまわないように教材を少し湾曲させる。
親指を教材の表側、人差し指から薬指までを支えるために広げて教材の裏側に置く。
肘を軽く曲げて持つ。
バランスを保つ必要があるので、両手で持つよりも難しい。

方法3 座って読みます。

座って読む際の姿勢は、肩の力を抜き、背筋を伸ばす。肩の力が入っていると、すぐに疲れて背筋が曲がってくる。背筋が曲がった状態になると、教材と目の距離が近づいてしまい目が疲れやすくなる。
悪循環となってしまうので、気が付いたらくどくない程度に教える。
始めによい姿勢の話をしていれば、年度途中は机間指導の時に、肩や背中にちょんと指をあてるだけで、その子は分かる。目が合えば「しまった。」といった表情で背筋を伸ばす。
繰り返し繰り返し指導していくことであるので、教師も子どもも負担が少ないように工夫をして指導をしていくとよい。

方法4 立って読みます。

立ったときに、まずイスの片付けをどうするか。クラスの状態によって変わる部分だ。
私のクラス(5年生)の場合、すぐに座るのであればイスは体の後ろにある状態でよい。席を離れる際には机の下に入れる、と指導していた。音読の場合であれば、ほとんどがすぐに座る。全文通読の時以外は、イスは体の後ろ側にあることが多かった。
立った際には、肩幅より少し狭い程度に足を開き、力を入れすぎない状態で背筋を伸ばす。絶対にこのようにしなければいけないということではない。児童に無理のない範囲で、上記のようにしたらよい。
「背中を丸めて、目と本の距離がうんと近くなって読んでいると、体も目も疲れやすくなってしまいます。疲れたり、体が痛くなった状態で勉強しても頭に入りません。よい姿勢というのは、体にとって楽な姿勢のことです。始めはきちっとしすぎていてしんどいと感じることがあるかもしれないけど、慣れたら本当に楽になります。みんなでよい姿勢をしていきましょう。」
などと声をかけて少しずつできるようになっていけばよいと思っている。

方法5 正座をして読みます。

正座ができない児童がいる。そのような児童には始めから正座での音読はさせない、姿勢の崩し方を教えるといった配慮が必要である。
整形外科医に聞くと、正座という姿勢は膝に負担をかける座り方とのことであった。
しかし、日本の文化として正月の挨拶や葬儀の際に「正座」という座り方をする機会があるのも事実である。その場合、対応できるように正座の時の足の組み方や正座ができない場合の足の崩し方を指導することも必要である。

方法6 床に座って読みます。

座り方(座法)は様々ある。正座、体育座り、あぐら(安座)、足を組まないあぐら(半安座)、結跏趺坐(けっかふざ、座禅の足の組み方)、片膝立(能の控えの姿勢、韓国女性の正式な座法)等、それぞれの座り方のエピソードを交えると、子どもたちは楽しんで座る。
いつも行う指導ではないが、音読の方法に変化を出すことができる。
6年生担任をしていたとき、百人一首をおこなったついでに、畳の上で古典暗唱を行った。
「昔の人っぽく座ります。」
というと正座やあぐら、座禅の組み方などバラエティーに富んだ座り方をしていた。
暗唱をすること自体が好きな子どもたちではあったが、いつにも増してノリノリだった。

方法7 隣の人と背中を合わせて読みます。

背中をつけて読むことで、声を合わせやすくなる。呼吸のタイミングや声を出していることを背中で感じられるからである。
七五調のリズムがある教材だと自然に体が動くこともあった。
楽しく音読をしていくことができる。

方法8 寝ながら読みます。

よくない例として挙げる時に使う。
寝ながら本を読んでいると、目から文章までの距離が短くなる、左右のバランスが取りにくい、光量が足りない状態になりやすいといった理由で目によくない。これに加えて、音読を行うと声が出にくく疲れやすい。
このようなことは、先生が説明するよりも子どもたちに体感させた方が理解が深まる。
「いつもと違う姿勢で読んでみて、どう違ったか隣の人に感想を伝えます。」
と気付いたことについて交流させると、よい姿勢がなぜよい姿勢なのかについて考えるきっかけとなる。

方法9 天井に本を向けて読みます。

8と同様に、よくない例として挙げる。
声が出にくいこと、自然な姿勢とはどのようなものなのかを考えさせられる。
これらの音読については、よい姿勢との比較をする際に行わせる。

4年生で行った際には、
「一番だらしない姿勢をして読みます。」
と指示した。
おもしろかった。
床に寝そべる子、イスにぎりぎりまで浅く腰をかけ足を大股開きにして読む子、友だちと絡まって2人で一冊の教科書を読む子たち。いろいろいた。ニコニコで行った。
その後、
「一番よい姿勢をして読みます。」
と指示した。
これもまた、おもしろかった。
ほとんどの子が次のようになっていた。
足は踵から爪先までビシッとくっついている、背中はまっすぐを通り越して後ろにそっている、肘はまっすぐに伸び切ってプルプルと震えているような状態。
一度座らせて、
「よい姿勢というのは、長い間同じ格好をしていてもえらくならない姿勢です。もう一回。」
と指示した。とてもよい姿勢になった。
よくない姿勢とよい姿勢を比較させることで、よい姿勢について考えさせることができた。

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